蝉は成虫の姿をよく見かけますが、そこに至るまでの幼虫までの段階はあまり知られていません。

長い間土の中にいて、外の世界に出てからはほんの数日しか生きられないのは有名な話です。

それでは、そこのところをもう少し掘り下げて調べてみましょう。

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蝉の卵

蝉のメスは、卵を枯れ木や樹皮の裏に産み付けます。

そして卵はそのまま越冬するのです。

幼虫は長く土の中にいるので、てっきり卵も土の中だと思い込んでいる方も多いのではないでしょうか。

蝉の幼虫

一冬を木の皮に守られながら過ごし、翌年の梅雨時期になると卵が孵化します。

そしてその幼虫はそのまま地面へと落ちます。

この時期、土は雨のために柔らかくなっているので、幼虫は土の中へと潜り込めるのです。

蝉の卵はこの土が柔らかくなる時期を、じっと待っているのです。

孵化までの長い時間を耐えられるよう、卵自体も乾燥に強くできています。

誰に教えられたわけでもないのに、古代から続くこの計算されたようなサイクルに、自然の不思議さを感じ得ずにはいられません。

さて、無事に土の中に潜った幼虫は、そこで短くて3年、長くて17年の月日を過ごします。

土の中で、木の根に口で穴をあけ、そこから樹液をもらって生きていきます。

特に何かを捕って食べているわけではないそうです。

そうして何年もの間、羽化をする時まで土の中でジッと待っているのです。

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蝉の羽化

いよいよ、外の世界に出る時期がやってきました。今までは土の中であまり危険にさらされることもなく穏やかに過ごしてきましたが、ここからは危険の連続です。

蝉の幼虫はとてもデリケートで弱々しいものなので、少しの障害でも乗り越えることができないのです。

例えば土から出てきても、木の根っこに引っかかってしまい動けなくなってしまったり、コンクリートが邪魔をして進めなくなってしまったりと、思いもよらない危険があります。

何しろ、土の中では樹液しか栄養を摂っておらず、活発に動けるほどの筋肉も備わっていないのですから無理もありません。

無事に木を見つけても、登っている最中に力尽きてしまったり、地面に落ちてしまったりして、一生を終えるものもいます。

もちろん鳥やスズメバチのような天敵もいますので、羽化は比較的天敵の少ない夜の時間になります。

だいたい20時過ぎに始まり、朝までには飛ぶことができるようになるそうです。

まとめ

蝉の一生は我慢の連続です。

こんなに過酷な運命を無事に生きぬいて成虫になったからこそ、あれほど力強く鳴けるのだと思いました。

私としては、できることなら一生土の中にいて、いつまでもすねかじりの様に樹液をもらい「あぁ、穏やかな一生だった」と幕を引きたい気もします。

それでも、出るときには出ていかなければならないのですね。

蝉に教えられた気がします。

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