夏の昆虫といえば、カブトムシやクワガタムシと並んで、セミが思い出されます。
セミといえばあの夏の大合唱でしょう。
しかし、セミが皆さんの知っているあの形になるまでは長い年月がかかっています。
今まで知らなかった、あのセミになるまでの段階を、ここでは述べたいと思います。
セミの産卵
まず、セミは卵を枯れた木や樹皮の裏側などに産み付けます。
鋭い産卵管をつき刺し木に穴を空けて、そこに2,3個産みます。
これを繰り返し、枯れ木を移動しながら合計300個くらいの卵を産み付けます。
そのため産卵を終えた木は、綿状にささくれ立っているそうです。
卵の孵化
卵は枯れ木に守られ一冬を越します。
そして次の年の梅雨時期に孵化が始まります。
それまでは卵が乾燥に強い為、春の乾燥した時期でも耐えられるそうです。
卵から幼虫が出てくるのが何故梅雨時期かというと、孵化した幼虫が地面に潜りやすくなるよう、雨で土が柔らかくなるこの時期が絶好のタイミングというわけです。
そうして孵化した幼虫はそのまま土へポトリと落ち、中へと潜っていくのです。
セミの幼虫
無事に土中に潜り込んだセミは、そこで短くて3年、長くて17年の月日を過ごします。
土の中だからと言って絶対安全ということはありません。
ゴミムシやモグラのような天敵がいますし、土の中の雑菌に感染して病気になる恐れがあるからです。
しかし、地上よりはずっと安全で、しかも木の根に口を刺して樹液をもらっているので食べ物に困ることもありません。
このようにして長い間を土の中で過ごし、成長していくのです。
セミの羽化
土の中で何年か過ごした後、ついに羽化の時期がやってきます。
しかし栄養の乏しい樹液しか摂っておらず、また何かを捕食するために激しく動くこともなかったので動作は緩慢です。
そんな状態で地上に出てしまうので、本当にたくさんの危険が待っています。
多くの仲間が天敵に狙われたり、体力が持たず力尽きたりする中、やっとの思いで羽化に適した場所にたどり着けば、そこからあのセミへの変体が始まります。
そうしたセミの羽化はとてもきれいで、神秘的です。
まとめ
夏の自由研究にセミの羽化が見たいという方は、夜の時間帯を狙うと良いかもしれません。
ただ、ここに来るまでがとても長く、困難な道のりであったことは前述のとおりです。
見つけても、どうか温かく見守ってあげてください。
セミの生態を知ることで、夏がまた少し楽しみになるのではないでしょうか。