蝉には耳がないという話を聞いたことがあるかもしれません。
ファーブル昆虫記にもそう書いてありますが、近年の研究でそれは間違いだということがわかりました。
そこで蝉の耳や音に関して調べてみました。
蝉の雌は耳で聞き分けている
有名なファーブル昆虫記に記されている実験では、蝉の鳴いている木のそばで大砲を鳴らしてみたところ、蝉は鳴き止むことはなかったのです。
このことから、蝉には耳が無く音を聞くことはできないと判断してしまうかもしれませんが、実は蝉にも耳はあり音を聞き分けています。
私たち人間の耳に犬笛の音が聞こえないのと同じで蝉の耳にも聞こえる周波数があります。
蝉は雄が鳴き雌を呼び共寝に至ります。
鳴くのは雄の蝉だけで鳴いて雌に居場所を知らせるので鳴くという発音はセミの生殖行動にとっても重要な役割を担っています。
蝉の成虫の期間は短く、その中で共寝し産卵しなければなりません。
ですから雄は大音量で鳴き雌に自分の居場所を知らせ、その鳴き声を聞いた雌が集まってきて共寝するのです。
雄の蝉の鳴き声は求愛行動の一つなのです。
蝉の体の仕組み
蝉はどのようにして鳴いているのかというと、お腹で共鳴して鳴いています。
多くの昆虫は羽をこすって音を出し鳴くのですが、蝉は羽でお腹をこすって鳴らす摩擦音と、お腹の中の共鳴室という空気の入ったところで鼓膜という筋肉が振動することで共鳴室の空気が共鳴して音が鳴るという2種類の方法によって鳴いています。
蝉の雌の耳はどこにあるのかというとお腹にあります。
後ろ足の付け根あたり、左右にふたのような腹弁と呼ばれるものがあり、それをめくった中に白い膜のようなものがあります。
これが人間でいう鼓膜にあたりここが振るえることで音を感じとっています。
この腹弁により同じ仲間の蝉の声を聞き分けています。
まとめ
蝉の一生はとても長いのですが、そのほとんどは幼虫の期間です。
成虫の期間は長くても1ヶ月ほどしかありません。
その短い成虫の期間に子孫を残すため雌は雄を探し出し共寝をして産卵しなければなりません。
そのため、雄は全身で精一杯鳴いて居場所をアピールする必要があります。
その鳴き声を聞いて自分の仲間の蝉だということを聞き分けるために蝉の耳は他の音に対して鈍感なのかもしれませんね。