夏になるとたくさんの蝉の成虫が地上に出て飛び回ったり、木に止まって鳴いています。
しかし、セミは成虫になるまで、何年もの間地下で幼虫として生活しています。
あまり知られていない蝉の幼虫地代の生態について調べてみました。
セミの幼虫時代の期間
セミが地中で幼虫として過ごす期間は、一般的に7年と言われていました。
ところが最近の研究で、人工飼育の技術を使ってもう一度よく調べてみると、もっと短いことが分かりました。
その期間は、セミの種類によって異なりますが、長いものでもニイニイゼミが4~5年、クマゼミが2~5年、ミンミンゼミやアブラゼミが2~4年といずれも7年よりもかなり短くなっています。
ツクツクボウシに至っては、なんと1~2年。
7年という期間よりはるかに短いことが分かります。
もちろん研究者によって多少の長短があるとは思います。
一説によると、17年も土の中に潜んでいるセミもいるようです。
でも、なぜ7年と言われてきたのでしょうか。
調べてみたところ、セミの生物学の権威であった加藤正世博士が、論文の中で「アブラゼミが羽化するのは産卵後7年目」と書いたのが、幼年期7年と解釈されて広まってしまったということです。
実際は蝉のメスが枯れ木に産卵して、その卵が孵化するまで1年かかります。
幼年期は、その孵化したセミの幼虫が地中に潜ってから始まりますから、正確には7年ではなく6年が幼年期となりますが、それでも長めです。
いわゆる権威主義というやつですね。
セミの幼年時代の生態
セミの幼虫は地中に潜って、木の根の樹液から栄養を吸い取りながら育ちます。
しかし育つといっても、何年間も継続的に成長しているわけではありません。
セミの幼虫の成長期は1ヵ月程度の期間が、年2回ほどあるだけだそうです。
つまり全体でも、成長期というのはトータル4~6ヵ月程度しかありません。
これは他の昆虫類とほぼ同じ期間です。
つまり蝉だけが特別に長いというわけではないようです。
幼虫の間は、白い体をしており、また目も退化しているためほとんど見えません。
羽化するまで長い期間をかけて、いつも我々が見ているようなお馴染みのセミの成虫、つまり茶色の体、目も立派な複眼ができることになります。
それまでの幼虫の期間は決して安全なわけではありません。
地中ですからモグラなどの天敵もいます。
栄養を与えてくれるはずの木から十分な樹液を得られなかったり、成長に悪い影響を及ぼす菌が付着したりして、無事に成虫になることができない場合もあるようです。
まとめ
セミの幼年時代は意外と短いことが最近の研究で分かりました。
しかし地中でのセミは目も退化しているため、外的な要因などでセミの成長に影響を及ぼすことがあるそうです。