蝉には耳がない、という説があります。
これは昆虫記で有名なファーブルが提唱したものです。
ファーブルは、蝉が鳴いている木の近くで大砲を発射して大きな音をさせたところ、蝉が全く反応しなかったため、耳がないと結論付けたとのことです。
確かに音が聞こえたのであれば、蝉はびっくりして木からすぐに飛び立ってしまいそうです。
果たして蝉には耳がないというのは本当でしょうか?
蝉に耳はある
結論から言うと、もちろん蝉にも耳があります。
ご存知の通り、蝉のオスはメスを呼び寄せるために鳴いています。
ですからメスにその音が聞こえないと意味はありません。
つまり蝉は音が聞こえているということになります。
それでは、なぜファーブルが大砲を使った時、蝉にはその大きな音が聞こえなかったのでしょうか?
音には、その強弱だけでなく、音域という概念もあります。
人間に聞こえずに、コウモリには聞こえる音域があるように、蝉には聞こえない音域だったということです。
ということで、上記のファーブルの説は、現代では完全に否定されています。
蝉の耳の位置
それでは、蝉の耳はどこにあるのでしょうか?
気になりますよね。
あの昆虫観察に定評のあるファーブルですら気が付かなかったのですから、そう簡単に見つけられないような気がします。
まず、蝉の耳には耳たぶがありません。
いかにも耳という形状をしていれば簡単に見分けることができますが、どうやらそうではないようです。
しかも人間と同じように頭部に耳があるのではなく、お腹の部分にあります。
蝉を裏返しにして、後ろ足の付け根付近を観察すると、そこに二つの腹弁が付いているのが発見できます。
この中に白い鼓膜のようなものもあります。
これが蝉の耳に当たります。
鼓膜を震わせて、外部からの音を聴きとっているわけです。
これにはなかなか気づかなくても不思議はありません。
蝉に限らず音を出す昆虫類は、この腹部付近に耳となる器官を持っている場合が多いそうです。
まとめ
古来より蝉には耳がないのでは?と言われておりましたが、ちゃんと耳があることが分かっています。
蝉のオスはメスを呼びよせるため鳴き、メスは聴覚によって、そのオスの鳴き声を聞いているのです。
蝉の耳は、人間と異なり、頭部ではなく腹部にあります。