山口仲美さん著の「中国の蝉は何と鳴く?」は、20世紀の終わり頃に半年ほど北京に住んだ著書が、日本語と日本の古典文学を、中国で日本語を学ぶ学生や先生たちに教えた時の体験をエッセイにした本です。
「中国の蝉は何と鳴く?」は日本語独自の擬音語や擬態後を説明した時の学生たちへの問いかけであったそうです。
今回は、日本独自の擬音語や擬態後について調べてみました。
擬音語
そもそも、日本に擬音語・擬態後が多いのは、他の言語に比べて、音節、つまり音の塊の数が圧倒的に少ないためと言われています。
アイウエオの50音の他に、濁音、半濁音、拗音をくわえても112しかありません。
英語などは8000とも3万ともいわれており、その少なさがわかります。
その少なさを補うために日本では、「イライラ」や「ムカムカ」といった感じでは書けない二音節反復型の擬音語・擬態後が数多く使われてきたと言われています。
蝉の擬音語
日本では、30種類ほどの蝉が生息しています。
代表的な鳴き方は、アブラゼミ「ジージー」、ミンミンゼミ「ミーミンミンミー」、ニイニイゼミ「チィー」、ヒグラシ「カナカナカナー」、ツクツクボウシ「ツクツクボーシ」、クマゼミ「ワシャワシャワシャ」、など、種類によってこれほどの擬音語があります。
ところが海外では、蝉に対する擬音語がほとんどないそうです。
日本人は、蝉だけでなく、カエルや、虫、鳥などの鳴き声をそれぞれ聞き分けて表現するのに対し、外国人はそれらの鳴き声がすべて雑音にしか聞こえない場合が多いようです。
これらの音を聞き分けることができるのは日本人独特の感性だということがわかります。
世界には3000種類近くの蝉の種類がいるそうです。
たったの30種類しかいない日本でこれだけの擬音語があるのに対し、世界には3000種類もいるのですから、それぞれを擬音語にしたら相当な数になりますね。しかしながら、おそらく日本人ならできるのでしょう。
まとめ
蝉の声は日本人にとって、うるさく感じることもありますが、日本の夏の風物詩として馴染みのある音です。
時には耳をすませてよく聞いてみると、その音から連想する夏の思い出が数々浮かび上がってくるのではないでしょうか。