一般的にセミの幼虫は長い間土の中で生活していますが、長くても5~6年程のセミがほとんどです。
しかし、中には13年周期や17年周期で大発生するセミがいるようです。
寿命の長さの秘密などについて調べてみました。
素数ゼミって何?
13年と17年の周期で大量に発生するセミのことを素数ゼミと呼びます。
素数ゼミは北アメリカにのみ生息していて大量に発生したあと次の周期まで全く姿が見えなくなる不思議なセミで、正式には『周期ゼミ』と呼ばれています。
なぜ素数ゼミが生まれたのか
素数ゼミの謎を研究し解明したのは日本の生物学者吉村仁教授です。
吉村先生の研究によると素数ゼミが産まれた最大の原因は氷河期にあると言われています。
寒さは生物にとって生きていくには過酷な環境となります。
そのため気温が下がれば下がるほど地中にいるセミの成長スピードはどんどん遅くなり10年以上もの長い間地中で暮らすようになった理由とされています。
そして、寒い時代にやっと地上に出てきたものの共寝の相手が近くにいないことには子孫が残せず地上に出た意味がありません。
そこで同じ年に一斉に羽化して共寝・産卵する方が効率的に子孫を残せるので同じ場所で大量のセミが発生するようになりました。
なぜ北アメリカだけに生息しているのか?
多くの生物が絶滅に追いやられた氷河期に、北アメリカの一部の地域には盆地や暖流のそばという気象条件や地形条件などにより、あまり気温が下がらないところがありました。
そんな特別区域に生息していたセミは絶滅の危機から逃れることができたことから、北アメリカの一部の地域にのみ生息するセミとなったのです。
なぜ13年と17年の周期で発生するのか?
大発生する周期がなぜ13年や17年なのかというと、その「最小公倍数」とういうところに秘密があります。
氷河期を生き延びたセミの周期は14~18年周期でした。
交配していくなかで周期の違うセミが出会ってしまうと交雑することになります。
交雑してしまうと子孫の周期はどんどん乱れていきます。
周期が乱れることにより地上に出た時の交尾する相手が減ってしまい絶滅してしまうのです。
交雑を避けるためにはこの周期の違うセミと出会う確率を減らす必要があり、素数であれば最小公倍数は大きくなり周期年数の違うセミと交雑しにくくなるのです。
まとめ
13年と17年という周期で大量に発生するセミはとても不思議に感じていました。
しかし素数ゼミは氷河期という厳しい環境を生き抜いて絶滅を回避するために進化した結果13年と17年という長い周期で発生するようになりました。
普通のセミとは違う進化を遂げていてとても神秘的ですね。